リース取得のモノ企業の持ち物としての取り扱い|RICOH Communication Club 経営に役立つ情報発信サイト
毎日仕事で使用するパソコン、デスク、社有車、コピー機などは仕事に欠かせないモノです。それらのモノは通常リース、買取り、レンタルといった方法で取得し利用します。どの方法で取得したのかにより資産収益率(ROA)にも影響することをご存知ですか。取得するモノの利用期間、利用形態などにより最適な取得方法が異なります。今回は日本企業でよく利用されているリースについて、特徴と関連する税制を簡単に説明します。
リースとは、一般的にお客様が選ばれた物件をリース会社が取得して、お客様に長期間貸し出す取引のことをいいます。レンタル、割賦販売なども似ている形態の取引ですが、リース取引は特定の物件をお客様に貸し出すこと、リース期間は比較的に長期間で期間内の解約は事実上禁止、物件の取得価額と諸費用を含んだ全額をリース期間内に回収することが特徴といえます。
さて、2008年4月から、リース契約の税務や会計の取り扱いが変更になりました。リース会計基準という言葉自体初耳という方にも豆知識として気軽に読んで頂ければと思います。このリース会計基準変更による物品取得に関しての影響は、企業の規模によって異なりますが、これからリースで設備投資をするときに何が変わったのかは知っておくのは重要です。
企業会計基準委員会(ASBJ)は平成19年3月30日、「企業活動のグローバル化に伴う共通の評価尺度の必要性」「借手における資産及び負債の認識の必要性」等の観点から、上場企業、大会社等*については所有権移転外ファイナンス・リース取引の『賃貸借処理』を原則廃止して『売買(に準じた)処理』とすることとし、リース会計基準の改正を公表しました。
また、リース会計基準の見直しを契機として、平成19年度税制改正において、リース取引に関する税務上の取り扱いも変更されました。
*①金融商品取引法適用会社(上場会社及びその関連会社等)
②会計監査人設置会社(資本金5億円以上又は負債200億円以上の会社及びその子会社等)
簡単にまとめると
『これまでリース(ファイナンスリース)で取得された物件は会社の資産としてみなさなくてよかったところが、今回の会計基準変更からリースで取得された物件も会社の資産として処理することにします。』
ということです。
実はこの影響は、会社の経営状態を内部、そして外部へも報告することに使用される『貸借対照表』に出る可能性を秘めています。今まで会社の資産としてみなさなくてよかった(オフバランス)物件が、会社の資産として処理(オンバランス)すると?財務指標の一つ、資産収益率(ROA)が下がってしまう可能性があるのです。(現時点ではこの影響は軽微ともいわれていますが。)
図1 リース会計基準変更に伴う貸借対照表への影響
ハードドライブが組み込まれているDVDレコーダーを購入する場所
しかし今回のリース会計基準の変更は、対象となるユーザーと、対象となるリース取引が明示されています。それらについて触れてみましょう。
対象となるユーザー
①上場会社及びその子会社・関連会社等(金融商品取引法適用会社)
②資本金5億円以上又は負債200億円以上の会社及びその子会社等(会計監査人設置会社)
つまり、上記以外のユーザーは特段の影響がありません。
『貸借対照表』は従来通りオフバランス(計上しない)で、『損益計算書』は
支払リース料を費用処理するだけの賃貸借処理を適用可能です。
図2 対象外ユーザーの貸借対照表の影響
対象となる取引
リース会計基準法変更の対象取引は、以下の所有権移転外ファイナンス・リース取引です。いわゆる一般的なリースのことといえます。
図3 リース会計基準変更の対象となる取引
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所有権移転外ファイナンス・リース取引とは?
リース期間中の契約解除が行なえず、かつ、賃借人が当該資産の使用に伴って生ずる費用を負担する等の要件を満たすリース取引で、リース期間終了時にリース資産の所有権が賃借人に移転しない取引をいいます。
ただし以下記載の個々の契約に重要性がない場合は賃貸借処理が可能ということになっています。
①購入時に一括費用処理可能な少額資産のリース取引
②リース期間が1年以内のリース取引(再リースも該当)
③リース契約1件当りのリース料総額が300万円以下のリース取引(企業の事業内容に照らして重要性が乏しい取引が対象となります。)
つまり、1契約300万円以下のリース取引は、従来通りオフバランスで支払リース料を費用処理するだけの賃貸借処理が適用可能ということです。
税制改正後のその他
税制改正後の所有権移転外ファイナンス・リース取引の取り扱いについて
- 2008年4月1日以降契約する所有権移転外ファイナンス・リース取引については、全ての取引が税務上売買取引として見なされます。
- 税務上の償却方法はリース期間定額法のみが認められますので、会計上リース期間定額法以外の償却方法を選択した場合には、下記の償却限度額を超過する部分の金額については申告調整が必要となります。
- 会計上賃貸借処理を行い、支払リース料を「賃借料」等の勘定科目で経費処理した場合にも、税務上は減価償却費として取り扱われますが、毎月定額のリース料であれば結果的にリース期間定額法で償却した金額と同額となり、税務上の申告調整は不要です(リース料が毎月定額以外の場合には、下記の償却限度額を超過する部分の金額について申告調整が必要です)。
税制改正後の消費税の処理について
①リース取引開始時にリース料総額分の消費税を仕入控除します。
②仕入控除した消費税は未払金として計上し、リース料お支払いの都度取り崩します。
【従来の処理と税制変更後の処理の比較】
例 リース期間:5年
リース料総額:600,000円(年額:120,000円) 消費税:30,000円(年額:6,000円)
いかがでしょうか。普段使われている仕事に欠かせない物件は、リースでの取得をした場合、このような処理がされていて、07年には会計基準変更も実施されていたのですね。
このリース会計基準変更は、『日本での会計制度を世界標準へ』ということで、国際会計基準(IAS)に基づいた会計基準の改訂だったとのことです。今回は貸借対照表を話題に含めましたが、投資家の方々からしても企業の経営状況の判断材料とも言える財務諸表が全世界で統一されるのは投資のグローバル化の中でもとても有用ですね。
以上簡単にリースおよびリース会計基準変更に伴うリース取引での影響について紹介しました。
(情報提供:リコーリース)
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